ちび龍の修練場

文系総合職のふつーのビジネスパーソンが、食いっぱぐれないキャリア構築と、社会変革の両立を考えていく思考のラボ。

仮説:ビジネスとソーシャルとガバメントの関係(1)

 最近では社会課題意識の高い若者が増えているとか、社会起業が増えているとか、戦後のように政府が護送船団方式での産業政策をできなくなったから民間からのリクエストに基づいた産業政策に変化してきているとか、ビジネスを考えるときには社会課題から発想せよなど、、、、NPOの活動が地元行政と深く連携するものになり、民間の行政受託案件も外郭団体の癒着的なものよりもプロフェッショナルなビジネスレベルのものの割合が増えてきている印象がある。

 

つまり、民間企業(ビジネス)と、市民(ソーシャル)と、行政(ガバメント)の距離感がかなり近くなり、昔よりもフラットで相互協力的で、人材の行き来も増えている、という変化が生じているように感じる。

 

民間は、より社会的な善や社会解決課題を意識するようになり、製品やサービスにおける新規開発だけでは社会浸透まで進まない(真のイノベーションは生み出せない)という実感から、社会実装のためのルール作り・ルール変更、実証実験において行政とのチームプレーの必要性を痛感している。

 

市民(NPO社会起業家を含む)は、社会にとって良いことをし、その活動を持続可能なものにしていくためには、大なり小なりビジネスの世界に倣って事業化をする必要があると痛感している。また、活動にお墨付きをもらうため、あるいは助成金補助金という資金を得るために、行政との関係づくりが必要だと痛感している。

 

行政は、経済政策を打ち出し、沈みゆく日本の経済をなんとかすることで、税収も維持・増加させたい。少子高齢化が余計に経済の沈没を加速させている、という危機感があるので尚更だ。地方に至っては人口減少が深刻なケースもあり、移住政策に関心を寄せる自治体も多いが、そのためにも雇用の創出は過大となる。しかし、民間ですら国際的な経済競争に四苦八苦しているわけで、多くがビジネス素人の行政にはどうしたらいいか分からない。むしろ、行政にどうしてほしいのか、民間の人から教えてほしい。経済の低迷に加えて広がる格差は、行政にとってサポートが必要な層の増加を意味し、経済的の低迷や東京一極集中は、多くの自治体にとって必要性の増す行政のサポートに対する財源の不足を意味する。市民活動の活性化は行政にとっても有難いものであり、心強いパートナーとなり得る。

 

こうして、それぞれの活動が連携を取り、相乗効果を生み出すのはいいことである。たしかにいいことなのだが、一点、注視すべきと思っていることがある。見た目が融合してしまった結果として、操縦席側の人間が、その活動の本質がこれら3つのうち、どれであったかを見失いやすくなっているということだ。(→続く)